あなたは、ロードレーサーといわれる自転車に乗ったことがあるだろうか?
学生時代、私はロードレーサーにまたがって、山口県内のいたるところをツーリングしていました。レバン製の自転車にシマノの最高パーツであるデュラエースにチューニングされたロードレーサーでガンガン走っていました。走るゼンリン地図といわれるくらいに、山口県内のありとあらゆる道は、網羅できるくらいに走りました。
二十歳、夏の一週間で1000㎞走破、一ヶ月で3000㎞を走破するというツールドフランスばりの距離を走破したという経験もあります。広島との県境にある標高千メートル級の山を登っていたとき、自転車のパイプが金属疲労で折れたという経験は、今でも友人との語りぐさになっています。
なぜ、このようなお話しをしているのかというと、
当時の友人が「私にまたロードレーサーに乗ろう」と話を持ちかけてきたからです。
友人の一声が、当時のことを色々と思い出させてくれました。
自転車乗りだったことが、現在メディカルトレーナーを職業としているターニングポイントだということに気づいたのです。
体の変調に悩んだ二十代、そして今。
当時の私は、疲労困憊で慢性的な背中の痛みを抱えていました。 整体やマッサージに通っても、受けているときは気持ちがいいのですが、終わって家に着くときには、痛みが出ていて、どうしようもない状態に悩んでいました。
ストレッチをしたり、近場の銭湯やサウナに行って疲れを癒やそうとしましたが、全く痛みはとれません。
症状は、ますます悪化していき不眠症に悩まされたり、突然、心臓の動悸に息苦しくなったり、原因不明の熱が続いて一週間寝込んだりと、体の変調も感じるようになっていました。
そんなことがあって、二十歳頃から体のケアについて考える時間が多かったことが、今の職業に結びついたのだと思います。
そして現在、私の体から不快な症状は消えています。 約十年間、悩んだ症状が完全に消えているのです。
メディカルトレーナーを目指した動機
私が求める整体術というものは、カラダを本来あるべき姿に戻すことでカラダの全機能を健常化させること。
カラダの機能が健常化すれば不快な痛みは治るだろう。さらに運動パフォーマンスも向上させることができるのではないか。体形のバランス改善という観点から整体術を求めて、色んな整体術を受けに行きました。
正確に骨の一つひとつを、細かく矯正してくれる整体院を探しましたが、私が望んでいるような整体院にたどり着くことはありませんでした。
保険適用の医院は、割安感がありますが、流れ作業的ですし、電気治療が主だったりして、バランスという概念はなさそうでした。
自由診療でやっておられるカイロプラクティクや整体院の方が、私の願望に合っているように思えました。
しかし、マッサージをやったあと背骨を矯正するだけで、その時の気持ちよさは感じましたが、ケアを受けた直後、運動能力が明らかに向上したかと言えば「NO」でした。そして痛みが改善したかといえば、これも「NO」でした。
当時、どの治療院に行っても私のカラダは相当歪んでいること、背骨の歪みは治せないかも、とまで言われましたから私のカラダを矯正することは相当、難しかったのかもしれません。
骨の1個1個を矯正してくれるような細かい治療をして欲しい。そしてカラダのバランスに徹底してこだわる医院に行ってみたい。
「私の願望は、押さえきれませんでした。」
それが、メディカルトレーナーを目指した動機でした。
めぐりあえた、オステオパシー医学という学問
メディカルトレーナー専門学校に入学した私にとって、この学問は興味のある分野でしたから徹底して解剖学、生理学、栄養学、病理症候、理学療法、体育医療、東洋医学、徒手医療学など勉学に励みました。その甲斐あってか、5年課程のところ、わずか3年で専門学校の教員にまでなりました。
さらに、私が進むべき道を示してくれた学問に出会うことになります。
整体術の勉強の一環として、夏休みに米ミシガン州立大学へ短期留学研修に行きました。そこで出会ったのがオステオパシー医学という学問だったのです。
世界的に著名な教授、先生方から、身体にアプローチする際の理論、観察方法、徒手テクニックを学ぶなかで「私が望む理想的な整体術はこれだ!」と留学中に確信しました。
留学期間中は、3時間くらいしか睡眠をとらず、机の上で猛烈に勉強したものです。
「絶対にこのスキルを身につけよう!」と必死でした。
その理論、観察方法、徒手療法こそが、今、私が用いている整体術です。経験も増して、様々なケースに対応できるようになりました。手技の手順や方法を使い分け、歪んだカラダを正確に矯正できるようになりました。
そして、多くの患者さんに接する中で、過去の私が抱えていた慢性的な痛みについて深く考えるようになりました。
過去の痛みを見つめ直した私
慢性的な痛みや変調で悩まされた当時の私の体は、どのような状態だったのか?
なぜ、多くの施術者が「私の体を治すのは難しい。」と首をひねったのか?
多くの学びの中で、明確な答えを見つけることができました。
そして、この答えこそが健康の礎になることを確信しています。
健康な体作りに欠かせないものは、食事と運動と言われます。
しかし、食事と運動だけでは健康な体は作れません。
なぜなら、運動に怪我はつきものだからです。
中高年の方が、運動して「腰を痛めた」「首を痛めた」といわれます。
運動は健康の一因と考えるならば、運動で体を痛めることは本末転倒です。
ではなぜ、運動によって体を痛めるのでしょうか?
答えは単純です。
歪んだ体形に気づかないまま、運動をやるからです。
非効率な体の状態で運動をやれば、誰だって体を痛めます。
私もそうでした。
歪みに気づかないまま(歪みに気づいても、どうすれば改善できるのか分からないまま)自転車に乗り続けたこと(=運動)が痛みの一因だったのです。
そして、なぜ歪んだのかというと、生活習慣の中の食事でした。カロリーの多い食事、特に肉類中心の食事であったことも体形を歪ませてしまう原因になっていたのです。
食事改善によって体内環境を整えることと同時に体形の健常性を図ったことで、私は不快な症状から解放されました。
健康の基礎は「食事」と「姿勢」です。「運動」は健康づくりの補助的役割でしかありません。ですから「食事と姿勢」が改善できない状態での運動は禁物なのです。これに気づいてから、多くの方に食事と姿勢の関係性について忠告しています。